以前の記事「長野大学 田中裁判の現時点での成果」や長野大学の訴訟問題・裁判の現状(2025年2月)に対して、多くの方から関心を寄せていただき、いくつか質問をいただいています。
この裁判は、長野大学の上層部による不正を告発したことで、逆に報復として大勢の教員が懲戒処分を受け、訴訟問題に発展したものです。
今回の記事もそのご質問にお答えするものです。
長野大学(被告)が大勢の教員を懲戒処分したかった理由
長野大学の上層部による不正を告発したことで、逆に報復として大勢の教員が懲戒処分を受け、訴訟問題に発展しましたが、長野大学が最も強く懲戒処分したかった点は、「副学長の研究不正を調査するように強く働きかけたこと」であると原告は主張しています。
実際に、2022年10月26日に、この懲戒理由で懲戒処分された教員は、原告だけでなく合計4名もいます。つまり、被告は、長野大学の上層部が行っている不正を告発したり、追求したりした者への対応(報復や口止め)が必要だと考えたのだと原告は主張しています。
このように、本件訴訟の原因となった懲戒処分においては、「不正調査をするように学長に求めたこと」が、重要な懲戒事由となっています。
しかし、長野大学側は、いざ裁判になると、この懲戒理由の主張にはかなり苦労しています。社会常識的に不正の調査を求めたことが、懲戒理由になるというのは説明できないと思います。
上田市役所の対応の疑問点
被告(長野大学)が、不正を追及されたことへの報復や口止めをしようしたという根拠の一つとして、上田市役所の対応があります。
上田市役所の部長が長野大学を訪問し、不正調査をした教員を名指しで呼び出し、不正を告発・追及した教員らを責めている発言の録音が確認されています。
上田市役所の部長が、なぜ、ここまで長野大学の不正調査に関わるのかは不明ですが、2020年10月9日、上田市役所の部長の発言内容から、不正調査を止めさせようと圧力をかけていることがわかります。
この上田市役所の部長の発言の録音は、現在の裁判に提出されており強力な証拠となっています。
長野大学で起きている不正の認否
ご質問の中には、「原告は『長野大学で起きた不正を追求した』とのことであるが、もしも、不正が無かった場合はどうするのか?」というものがありました。
これは言い換えると「原告らが長野大学上層部の不正を疑っているが、本当に不正があったと言い切れる根拠(真実相当性)があるのか?」という質問でもあります。
しかし、ここで注意すべき点は、「不正があった事実は長野大学も認めている」ということです。
つまり、不正の認否のレベルでは争いはありません(主張の食い違いは無い)。
また、長野大学理事長自身も不正があった事実は認めています。理事長文書のリンクはこちら。
そのため、不正があった事は、原告と被告の双方が事実として確認しています。
原告と被告(長野大学)との主張の違い(不正の認否に関する部分)
【原告の主張】
原告らが告発し、追求したので長野大学で発生した不正が発見された。
【被告(長野大学)の主張】
原告らに追求されるまでもなく、長野大学自身で不正については自ら調査を進めていたので原告らが告発したから不正が見つかったわけではない。
主張の違いについて
上記のそれぞれの立場の主張からわかるとおり、どちらも不正があったという事実についての認識に違いはありません。裁判の中では、不正の発見のプロセスや対応についての主張の食い違いがあるのみです。