長野大学で起こっている問題に対して、まだ裁判は継続していますが、裁判を起こしたことで原告側には既にいくつか重要な成果が出ています。
長野大学では、大学上層部の不正を告発した大勢の教員が逆に懲戒処分されています。これは、不正を告発した者への口封じや威嚇が目的であると考えられます。
上田市役所の部長の発言の録音(2020年10月9日)からも、この信憑性は高いでしょう。
実際に、長野大学が不正を告発した教員らには、極めて高額な制裁を課す減給処分がなされました。
この不当な懲戒処分に対して、原告らは2022年12月9日に裁判を起こしました。
裁判の過程で、長野大学は、その減給処分が違法である点を次々と指摘され、裁判の結果を待つまでもなく次々と懲戒処分の内容(程度)を変更しています。
長野大学は、当初(2022年10月)は不正を告発した制裁として、40万円を超える高額な減給処分を課してきました。しかし、いざ、それが裁判で不当性や違法性を指摘されると、長野大学は、裁判の途中であるにも関わらず制裁金額を25,800円(2024年12月時点)まで大幅に減額してきました。
つまり、裁判を起こしたことで減給処分の金額(制裁金額)が、1/50になったことがわかります。
裁判の途中であるにも関わらず長野大学は制裁金額を1/50まで減らしましたが、現在の裁判は、この残りの1/50(25,800円)の制裁金額に対しての争いとなっています。
少なくとも制裁金額を1/50にできたことが、裁判の現時点での成果と言えます。
減給処分で課せられた金額の変化(裁判の途中段階での成果)
長野大学の上層部の不正を告発した教員らが懲戒処分を受けたのは、2022年10月26日でしたが、このときの原告の減給金額の合計は、制裁金として通知としては給与10%・3ヶ月の減給処分ということでしたが、それ以外にも、いろいろ懲戒処分を理由に賞与等から差し引くことによって、通知外の制裁を含めて合計428,502円、つまり40万円を超える極めて高額な経済的な制裁がなされました。しかし、裁判の中で長野大学側の不当性や違法性を指摘されると、長野大学は、25,800円まで制裁金額を大幅に減らしました。
つまり、2024年12月22日現在の裁判では、このわずか25,800円という減給処分の金額を争っていることになります。
2022年10月26日時点での減給金額の合計(当初の減給処分)
減給額(制裁金額)428,502円
2024年12月22日時点での減給金額の合計(裁判を起こされたことで変更された金額)
減給額(制裁金額)25,800円
裁判を起こしたことによる長野大学の態度の変化
原告は規程に基づいての調査を行っているので、なぜ懲戒処分される理由がわからない状態です。原告となる教員らは、40万円以上も減給処分されるような行為はしていません。長野大学は裁判を起こされて、懲戒処分の不当性を指摘されたことで、慌てて制裁金額を大幅(50分の1)に下げるという信じられない行動に出ています。
現在の裁判の争点
現在の裁判では、「原告らの不正調査のやり方」に問題がなかったことを争われています。
原告は規程に基づいての調査を行っているので、懲戒処分される理由がわからない状態です。実際に長野大学は、懲戒処分の不当性や違法性を指摘されたことで、裁判の途中であるにも関わらず、40万円を超える制裁を25,800円まで減額しなければなりませんでした。
現在の裁判では、この25,800円の減給処分を争っています。
裁判の途中で懲戒処分の内容や程度を変更できるのか?
日本の裁判において、懲戒処分の妥当性は、裁判の判決が出る段階で決まります。つまり、使用者(長野大学側)の立場としては、裁判の途中であっても懲戒処分の内容や程度を変更することができます。裁判の判決は、その変更後の懲戒処分の内容で争われます。
そのため、使用者側は裁判が不利になると、裁判の途中でも懲戒処分の内容や程度を変更して、裁判が不利になることを防ぐことができます。
ただ、当然のことながら、当初、違法な懲戒処分を出しておいて、裁判を起こされた後で、慌てて懲戒処分を変更するというのは倫理的な問題は残ります。
公立大学法人としての倫理的な問題
今回の裁判の特徴として、裁判の途中で減給処分の制裁金額が50分の1(実際は6%程度)に変更されるという異常な状況であることです。
当初、違法な懲戒処分を出しておいて、裁判を起こされたら慌てて懲戒処分を変更するという公立大学法人としては、法律の裏をかくような倫理上の問題が生じるような対応をして良いのかという疑問が残ります。
しかも、今回の懲戒処分では、理事や賞罰審査委員として2名の現役の弁護士が直接関わって懲戒処分が決定されています。つまり、長野大学は、意図的に、このような倫理的な問題が生じる対応をしているのでしょうか?